轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

そこに出ている団扇をとりあげようともしないでコップで二杯の水をのみ終ると、

「ああ、お会い出来てよかった!」

思いつめて遠方から来た気がゆるんだというように、椅子の背へもたれこんだ。酷暑だのに、白地銘仙の着物に友禅の昼夜帯をしめ、そのどっちにもたたみめがなかった。伸子は、

「なにか急に用があったの?」

ときいた。

「ええ是非きいて頂きたいと思う重大な問題があるもんですから……」

絢子は、伸子が老松町を引こしてからの自分の生活を話した。久地浩のところへ出入りし、書いたものを見て貰い、大変嘱望された。またこの一年ばかりは相川良之介のところへしげしげ訪ねていた。そういう話だった。絢子は、

「あのかたは、家庭でも、ほんとに孤独でいらしたわ、わたしにはよくわかっていましたの」

そういって、わかる訳があったのだ、という眼つきで伸子を見た。伸子は、ばつのわるい表情をした。黙っていると、

「あの新聞に出ました『ある旧友への手紙』もちろんおよみになりましたわねえ」

といった。

「ええ」

絢子は、犬歯のめにたつ口もとを引しめてうつむいていたが、その頭をもたげるなり、

「あすこに、女人とありましたでしょう。