轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

伸子が机の前で考えにしずんでいるところへ、とよが、

「お客さまですが……」

と来て立った。

「どなた?」

「遠藤絢子さんという方です……老松町のころにもよく上ったとおっしゃっていますけれど……」

遠藤さん――伸子は思い出した。老松町の家に住んでいた頃、近所の筑前琵琶師の二階がりをして、賃仕事などをしながら、文学をやりたいといっていた絢子という二十四五のひとがあった。

「ぜひお話ししたいことがあるっておっしゃいます」

伸子は、玄関へ出てみた。二三年会わなかったうちに、生活のやつれが濃くなり肩も骨だって見えはしているが、やはりそのひとであった。

「ああよかった、わたし、きょうはどうしてもきいて頂かなくちゃならないことがあるんですのよ」

犬歯の目だつ口もとで、伸子の上に目をすえていった。

「ともかくお上りなさいな」

玄関に立っている様子も、そこから座敷に入って来る絢子のものごしも、どことなく伸子を警戒させた。伸子は、客を北側の落ちつく小部屋の籐椅子へ案内した。遠藤絢子は、暑いさなかを歩いて来たのに、汗をふくよりのどの乾きの方がきついという様子に見えた。冷たい水をたてつづけにのんだ。