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ふたりまちやっこ

二人町奴

国枝 史郎

「少年倶楽部」1927(昭和2)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,555 字 · 19 页

青空文庫

本心を聞きたいというようにグッと弥左衛門眼を据えた。

「うむ、それか」と云ったものの藤兵衛はしばらくは物を云わない。

「やり損なうに相違ないと、俺らハッキリ睨んだからさ」

それから少し間を置いたが、

「相手がああいう相手だけに、一度で片づくと思っては早すぎる。一番手が失敗した場合、二番手の備えをしておかないとの」

「なるほど」と釣鐘弥左衛門、こいつを聞くと頷いた。

「それじゃア兄貴は二番手をもって任じ、長兵衛どんや唐犬の兄貴の、敵を討とうとするのだね?」

「とにかく憎いは旗本奴、わけても水野十郎左衛門、白柄組の一党だよ。この儘のさばらせちゃア置かれねえ」

「ところで兄貴、その手段は?」

「ここにあるよ」と胸を打った。

「胸三寸、誰にも言わねえ」

「俺らにも明かせてくれねえのか」

気色ばむ弥左衛門を慰めるように、

「俺一人で出来る仕事なのさ、無駄なたくさんな殺生は俺らにとっちゃア好ましくない。だがな」と藤兵衛しんみりとなった、「もしものことが俺にあったら、それ、お前とは縁の深い、あの浅草の鐘でもついて、回向というやつをやってくれ。そうしてなんだ俺が死んだら、いよいよ町奴は衰微するだろう、そこでお前だけは生きながらえて、町奴の意気をあげてくれ、こいつが何より肝心だ、それはそうと、しめっぽくなった。