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ふたりまちやっこ

二人町奴

国枝 史郎

「少年倶楽部」1927(昭和2)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,555 字 · 19 页

青空文庫

浪人組が構え込んでいる。白刃がタラタラと並んでいる。そこを押し通って行くことは出来ない。

賑やかな囃も急に止み、それを見物の人々も息を呑んだ。

この間も二手の浪人組、太刀を構えてせり詰めて行く、やがて白刃が合わされるだろう、境内は血潮で染められるだろう、負けた方は逃げるに相違ない。勝った方はきっと追っかけるだろう。乱闘となったら見物にも、善男善女にも怪我人が出来よう。奉納の釣鐘にも穢れがつき、大勢の寄進者も、傷付くかもしれない。

「逃げろ逃げろ」と云う者もある。

「一まずだしを引っ返せ」と喚き立てる者もある。

あぶないあぶない折柄であった。

「どいた、どいた、ご免下せえ」

ドスの利く声を掛けながら、群集を左右に掻き分け、だしに近寄った人物がある。

三十がらみで撥髪頭、桜花を散らせた寛活衣裳、鮫鞘の一腰落し差し、一つ印籠、駒下駄穿き、眉迫って鼻高く、デップリと肥えた人物である。

丁寧ではあるが隙のない態度、ジロリと一同を見廻したが、

「大変な騒動になりましたな。さぞ皆様もお困りでしょう、ケチな野郎ではございますが、私がちょっと仲裁役、一肌脱ぐことに致しましょう、と云いたいんだがどう致しまして、すっぱだかになって踊ってみせます。