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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
しいていえば、生徒がよくなつくというようなことにあったかもしれぬ。
その朝七百人の全校生徒の前に立った大石先生は、しばらくだまってみんなの顔を見まわした。だんだんぼやけてくる目に、新らしい六年生の一ばんうしろに立って、一心にこちらを見ている、背の高い仁太の顔がそれとわかると、思わず涙があふれ、用意していた別れのあいさつが出てこなかった。まるで仁太が総代ででもあるように、仁太の顔にむかっておじぎをしたようなかたちで、壇をおりた。高等科の列の中から正や吉次や、小ツルや早苗のうるんだまなざしが一心にこちらをみつめているのを知ったのは、壇をおりてからだった。お昼の休みに別棟にある早苗たちの教室のほうへゆくと、いち早く小ツルが見つけて走ってきた。
「せんせ、どうしてやめたん?」
めずらしく泣きそうにいう小ツルのうしろから、早苗の目がぬれて立っていた。あんなに女学校女学校と、まっさきになってさわいでいたマスノが、結局は高等科へ残ったというのに、その姿が見えないことについて、小ツルは例によって尾ひれをつけていった。
「マアちゃんな先生、おばあさんとお父さんが反対して女学校いくの、やめたん。