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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
「お母さんの歓迎会、浜の見える部屋?」
「たぶんそうだろう?」
「そんならときどき顔出して見てなあ」
「よしよし、見て、手をふってあげる」
「そしたら、大石先生とこの子じゃと思うて、いじめんかもしれん」
並木に大石先生といわれたことで、大石先生は思わずにやりとなり、
「へえ、大石先生か、このお母さんが……」
岬では泣きみそ先生といわれているといおうとしてやめた。別れ道へきていた。そこから二人は八幡山へ登るのだった。十間ほどもいってから、大吉が叫んだ。
「お母さん、もしも、雨降ってきたら、どうしようか?」
「あんぽんたん。二人で考えなさい」
水月まではもうあと十分たらずだった。まっすぐに歩いてゆくと、向こうから早苗とミサ子が子どものように走ってきた。
「せんせえ」
ろくにあいさつもしないで、両側からとびついてきた。
「先生、めずらしい顔、だれだと思います?」
早苗がいった。
「めずらしい顔?」
「一ぺんにあてたら、先生を信用するわ。な、ミサ子さん」
二人はいたずらっぽくうなずきあって笑った。
「ああこわい。信用されるかされないか、二つに一つのわかれ道ね。さてと、めずらしいといわれると、さしずめ、ああ、ふたりでしょう、富士子さんに松ちゃん?」