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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

女先生とは少し調子がちがうが、ブブーと、おじぎのあいずも鳴った。みんなの顔に、おや? といういろが見えた。二枚の黒板には、いつも女先生がしていたように、右側には楽譜が、左側には今日ならう歌が立てがきに書かれていた。

千引の岩

千引の岩は重からず

国家につくす義は重し

事あるその日、敵あるその日

ふりくる矢だまのただ中を

おかしてすすみて国のため

つくせや男児の本分を、赤心を

漢字には全部ふりがながうってある。男先生はオルガンの前から教壇にきて、いつもの授業のときのように、ひっちく竹の棒の先で、一語一語を指ししめしながら、この歌の意味を説明しはじめた。まるで修身の時間のようだった。いくらくりかえして、この歌の深い意味をとき聞かしても、のみこめる子どもは幾人もいなかった。一年生がまっさきに、二年生がつづいて、がやがや がやがや。三年生と四年生の中にも、こそこそ こそこそ ささやき声がおこった。と、とつぜん、ぴしっ! とひっちく竹が鳴った。教壇の上の机をはげしくたたいたのである。とたんに、ざわめきはやみ、鳩のような目がいっせいに男先生の顔をみつめた。男先生はきびしく、しかし一種のやさしさをこめて、