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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
小林先生が分教場にかよいだしたころの生徒は、わざと一列横隊になっておじぎをしたり、芋女っとさけんだり、穴があくほど見つめたり、にやにや笑いをしたりと、いろんな方法で新米の先生をいやがらせたものだった。しかし、三年半のうちにはもうどんなことをしても先生のほうで困らなくなり、かえって先生が手出しをしてふざけたりした。五キロの道のりでは、なにかなくてはやりきれなかったのだろう。ころをみて、またひとりの生徒がたずねた。
「こんどの先生、何いう名前?」
「大石先生。でもからだは、ちっちゃあい人。小林でもわたしはのっぽだけど、ほんとに、ちっちゃあい人よ。わたしの肩ぐらい」
「わあ!」
まるで喜ぶようなその笑い声をきくと、小林先生はまたきっとなって、
「だけど、わたしらより、ずっとずっとえらい先生よ。わたしのように半人前ではないのよ」
「ふうん。そいで先生、舟でかようんかな?」
ここが大問題だというようにきくのへ、先生のほうも、ここだなという顔をして、
「舟は今日だけよ。明日からみんな会えるわ。でも、こんどの先生は泣かんよ。わたし、ちゃんといっといたもの。本校の生徒と行きし戻りに出あうけど、もしもいたずらしたら、猿が遊んでると思っときなさい。