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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
この着物きたら、かしこげに見えるわ。裾にちろちろ赤いのも見えて、みごとい、みごとい。よかったァ」
これだけほめられると、早苗は正直にそれを信じこんだ。着物をきているのはコトエと二人だけで、コトエもまた母親のだったらしい黒っぽい、飛び模様のある綿めいせんをきていた。本裁そのままらしく、腰あげも肩あげももりあがっている。しかし彼女のじまんは、先鼻緒に赤いきれのついたぞうりの方だった。藪のそばの草むらを通るとき、コトエだけは、ふっと、大石先生を思いだし、一本松のほうを見た。
「小石先生!」
親しく、心の中でよびかけたつもりなのに、まるでそれが聞こえたかのように、小ツルがよってきた。
「小石先生のこと、知っとん?」
「なに?」
知らないとわかると、こんどは早苗に、
「知っとん? 早苗さん」
小ツルは大声で、ぐるぐると見まわし、
「みんな、小石先生のこと、知っとるか?」
ニュースは、いつだって小ツルからである。みんなは思わず小ツルをとりまいた。得意の小ツルは、れいのとおり篠で切ったような細い目を見はり、見はってもいっこうひろがらない目でみんなを見まわし、
「小石先生な、あのな、エイコトコトコトコンペイト」