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きょうにつけるゆうべ

京に着ける夕

夏目 漱石

从热烘烘的东京跳上火车,一下子被甩进京都的春寒黑夜。坐在四面透风的车里晃悠,冷得直哆嗦——这古都怎么冷成这样?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,009 字 · 8 页

青空文庫

ぜんざいを召したまえる桓武天皇の昔はしらず、余とぜんざいと京都とは有史以前から深い因縁で互に結びつけられている。始めて京都に来たのは十五六年の昔である。その時は正岡子規といっしょであった。麩屋町の柊屋とか云う家へ着いて、子規と共に京都の夜を見物に出たとき、始めて余の目に映ったのは、この赤いぜんざいの大提灯である。この大提灯を見て、余は何故かこれが京都だなと感じたぎり、明治四十年の今日に至るまでけっして動かない。ぜんざいは京都で、京都はぜんざいであるとは余が当時に受けた第一印象でまた最後の印象である。子規は死んだ。余はいまだに、ぜんざいを食った事がない。実はぜんざいの何物たるかをさえ弁えぬ。汁粉であるか煮小豆であるか眼前に髣髴する材料もないのに、あの赤い下品な肉太な字を見ると、京都を稲妻の迅かなる閃きのうちに思い出す。同時に――ああ子規は死んでしまった。糸瓜のごとく干枯びて死んでしまった。――提灯はいまだに暗い軒下にぶらぶらしている。余は寒い首を縮めて京都を南から北へ抜ける。

車はかんかららんに桓武天皇の亡魂を驚かし奉って、しきりに馳ける。前なる居士は黙って乗っている。