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ひとのことば――じぶんのことば
人の言葉――自分の言葉
寺田 寅彦
「理学部会誌」1927(昭和2)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,247 字 · 5 页
「今日本にあらゆる種類の全く無用な団体を作ろうとする熱、一種の狂熱がある……文学芸術の研究は決してかかる協会に伴なうものではない。文学芸術の研究は個人の努力と、それから独創的思索にたよるものだ。有名な書物を書き有名な絵をかいた偉大な日本人は、自分らを助ける協会などを要しなかった。彼らは孤独で労作したのだ。……日本の会合は時間の有害な浪費であると自分は思うと言った。……研究をさらに進めるため洋行する日本の青年学者を思ってみよ。……ところで日本へ帰って来ると、仕事をせよと奨励されずに、会合に出て宴会に出席して、雑誌を発刊して、演説をして、無報酬の講義をして、原稿を訂正して、仕事を妨げることに想像される有りとあらゆることをして、その時間を浪費せよと頼まれる。……そしてできるだけ早く疲労してしまうのが落ちだ。……」(小泉八雲の手紙。野口米次郎、『小泉八雲伝』より)
科学の研究には設備と費用がかかるから、どうも孤独ではできない。しかしこのヘルンのつむじ曲がりの言葉の中には味わうべき何かはある。彼の言葉を少しばかり参考すると日本の科学はもう少し進みはしないか。