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ひとのことば――じぶんのことば
人の言葉――自分の言葉
寺田 寅彦
「理学部会誌」1927(昭和2)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,247 字 · 5 页
三
「私は言わば偶然にセリストになった。事によっては、ヴァイオリニストにもまたトロンボニストにもなったかもしれない。音楽が第一に来るもので特別な楽器ではない。しかし自分のメディアムとしてある特別な楽器を選んだ以上はできるだけ完全にそれを使用しなければならない。……私はあらゆるものから学んだ、ヴァイオリニストからも、唱歌者からも、器楽者からも。私の聞いたすべての音楽は私のセロに発想の上に新しい道を開いた。私は名手から学ぶと同様に下手からも学んだ。それはどうしてはいけないかを学んだのである。私は私の生徒からも多くを学んだ。」(パブロ・カザルスの言葉。マルテンスの『ストリングマスタリー』より拙訳)
スペシアリストのほんとうの意義、その心得を説き尽くしたものと思う。スペシアリズムは結局コンヴェンションであって理想ではない。われわれはよくそれを忘れる。そして自分の専門外の事に興味を失いやすい。セリストもピアニストも目ざすところは音楽であるように、われわれ物理学者も専門のいかんによらず目ざすところは物理であろう。
四
「京師に応挙という画人あり。生まれは丹波の笹山の者なり。