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ひとをのろわば
人を呪わば
国枝 史郎
「探偵趣味」1926(大正15)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,223 字 · 7 页
一
一
「あの、もしもし」
と女の声。
振り返って見ると白い物! 女が軒下で招いている。
午前三時! 深夜である。
「え、お嬢さん、何かご用で?」
一條弘、若き新聞記者。年齢二十四。慇懃に訊く。
場所は大阪。川口あたり。――
「一緒に連れてって下さいよ」
「だが、一体どうしたんで?」
「お願いですよ。……妹だと云ってね」
「ははん」と一條感付いた。こん畜生め! 地獄だな。
「ね、お願いですわ。助けると思って。……だって非常線が。……困っているのよ」
「よし来た」と義侠心を揮い起こす。「何んていうんだい、君の名は?」
「お君ってのよ。お願いだわ」
で、一緒に行くことにする。
「もしもし」と二三人が呼び止める。
私服の警官諸兄である。
「こんな夜更けに。女連れで……」
「やあ、今晩は」と一條弘。「何か獲物でもありましたか。……僕、記者ですよ。B新聞の」
で、名刺を進呈する。
「やあ」と直ぐに仲宜くなる。「少し遅いじゃあありませんか。……で、連れのご婦人は?」
「ええ、僕の妹でね」
警官諸兄クスクス笑う。
ちゃあんと感付いているらしい。
それも其筈さ、似ていないんだから。だが、警官と新聞記者だ。