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じんみんせんせんへのいっぽ

人民戦線への一歩

宮本 百合子

「サンデー毎日」1946(昭和21)年2月3日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,003 字 · 10 页

青空文庫

米が、二割しか集っていない。各大都市の人口は配給米をもって命をつないでいる。その米のストックが乏しいところへ、農民が強制買上供出反対で、米俵をつんで東京、大阪その他の駅に入るべき貨車が、きょうも、明日もと空っぽであるとき、大都市の住民の不安はいかばかりであろうか。重大な事態をひき起すであろう。その重大事態の核心をなすものは何かといえば、食糧の非常手段による調達であろう。住民の非常手段による調達というとき、この間まで日本人の頭に浮ぶのは、往年の米騒動ばかりであった。しかし、今日では、人民の食糧管理という観念が加って来ており、そこに、板橋区の実例があった。すこし、実際的に心の働く人民なら、ここのところに新しい社会的なものの生じていることを理解するのは当然である。

仮に、そういう切迫した事態に立ち至ったとき、或る区に食糧管理委員会が出来て、板橋でやったように、どこかに隠匿されている食糧を発見し、ああいう風に特配したとする。その場合、警視庁は、その方法を適当と認めていないのであるから、何かの形で取締ろうとするであろう。そんな場合の民衆が、単純に取締られるものでないことは、ひとも我も知っている。