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じんせいみっつのたのしみ
人生三つの愉しみ
「新潮 第四八巻第四号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,953 字 · 16 页
ムカムカと吐き気を催しはじめる。鼻カタルをフランスでは脳カタルと云うそうだが、私には、どうもその言葉の方が適切だ。
週刊朝日のその号に、高野六郎博士が、自身用いている宿酔しない方法というのを説いておられる。水をガブ/\のんで歯をみがくと、歯ミガキ粉が少し自然にノドへはいって、それがシゲキとなって胃の中のものを全部はきだす、という方法である。その道の学者がこういう原始的方法を愛用されているから私もおかしかったというのは、私自身が期せずしてこの方法を用いていたからである。私の場合、方法は同じだけれども、吐く原理の解釈が高野博士とちがっていた。私のは、歯ミガキ粉のシゲキじゃなくて、大口をあけて歯をみがくと、その顔面の運動が、鼻汁が胃へ自然に落ちて行く道をひらく、そして鼻汁が落ちようとすると、猛然として吐きあげてしまうのである。というのも、決してそうだと言いきれるワケではない。私の吐くに至る筋道がどうもそう感じられるという程度のバクゼンたるものではあるが。
アンタブスが体内でアルコールと結合するとアセトアルデヒドという酒を嫌いにさせる作用のあるものが蓄積され、新陳代謝を阻害して、顔が真ッ赤になり、汗が流れ、一滴も酒をうけつけられなくなるのだそうだ。