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じんぞうにんげんエフし

人造人間エフ氏

海野 十三

「ラヂオ子供のテキスト」日本放送協会出版、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 页

青空文庫

いまエフ氏は、真暗な空を、ひゅーっとうなりごえをあげながら、砲弾のように、東の方にむかってとんでいく。

そして、どうしたのか、ときどき身体がぱっと気味わるく光った。光るたびに、エフ氏の身体は空中でぐるぐる廻転して、まるで人間花火みたいであった。エフ氏の身体は、だんだんと、空高くのぼっていくように思われた。その当時、あれ模様の空からは、急にはげしい風が吹きはじめたが、それはエフ氏が風の神に早がわりをしたかのように思われた。

エフ氏は、はげしいいきおいで、空をとんでいく、夜中だから、まだいいようなものの、もしもこれが昼間であったとしたら、道ゆく人たちは、空を飛ぶ少年姿のエフ氏を仰いでさぞ胆をつぶしたことであろう。きっと、百人や二百人は、目をまわすものがでてきたことであろう。

岩窟の押し問答

岩窟の中では、帆村と正太の二人が、元気をもりかえした。エフ氏がとびだしたので、イワノフ博士は、すっかりあわてている。そこをねらって、帆村と正太とは、右と左とから、博士をおさえつけたのだった。

「さあ、イワノフ博士。しずかになさい」

「あっ、わしをおさえて、一体どうしようというのか」