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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
「なアに雁金さん。こいつが動くことだけは確かですよ。今こいつの腹の中では、機械がしきりにゴトゴト廻っているのですよ。誰かこの人造人間に命令することができればいいのです。見わたしたところ貴官など最も適任のように心得ますが、一つ勇しい号令をかけてみられては如何ですか」
と帆村は手を前にのばした。
雁金検事は、すぐ顔の前で手をふった。
そのとき大江山課長が進みでて、
「こういつまでも、訳のわからない機械を相手にしていたのでは始まりませんから、いつもの手口の方から調べてゆきたいと思いますが、いかがでしょう」
「それもいいですね」と検事が同意した。
「そうなると、まずこの家の家族なんですが、夫人のウララ子が見えません。ばあやのお峰というのは、この事件を知らせて来たので、いま警察に保護してあります。ばあやは耳がきこえないのですが、夫人が外出先から帰ってきたので、お茶を持って上ってきたときに、夫人が入っていたこの部屋の中で惨劇をチラリと見たのだそうです」
「ウララ夫人は、いつ帰宅したんですか」
「ばあやの話によると、今夜八時をすこし廻ったときだったといいます」
「すると博士が死体となった鑑識時刻とあまり違わないネ。