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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
刑事たちは課長の命令で、再びその辺を丹念に捜してみた。しかし彼等はついにそれを捜しあてることができなかった。
「どうも、ないようですよ」
「そうか。ウム、よしよし。それで分ったぞ。やっぱりこれは人造人間に霊魂があったわけでなく、やっぱり生きている人間が、この人造人間を示唆したのだ。犯人はその暗号表を持っているのに相違ない」
大江山課長は、決然と云い切った。
とにかく博士の居るこの部屋で、誰かが人造人間に号令をかけたのに相違ない。それが誰だか分れば、この事件は解決するのであった。さあ、誰がこの部屋に入って、号令することが出来るか。
ウララ夫人であろうか。馬詰丈太郎だろうか。または怪外人ジョン・マクレオ医師であろうか。それとも外の人物だろうか。
ばあやにつき調べてみると、博士はいつも七時から七時半までを夕食の時間にあて、それが済むと一服の睡眠剤をのみ、今博士の死体が横たわっているベッドにもぐりこんで九時半まで丁度二時間というものを熟睡して、その後深夜に続く研究の精力を貯えるのが習慣になっているそうである。
すると今夜も博士の夕食後の睡眠中に、何者かがこの部屋に忍びよって、人造人間の前に死の呪文を唱えたに違いない。