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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
ばあやはウララ夫人が外出から帰ってのち、使いに山の手までやられたのだが、その足で警察へ駈けこんだ。ばあやは博士が殺害されるとき、あの家に居たことは疑う余地がない。しかしばあやは口がきけない。犯人がもし人造人間に号令をかけたものとすればばあやは犯人であり得ない」
「なるほど、するといよいよウララ夫人という順番ですかネ。ウララ夫人の帰宅と、博士の殺害と、どっちが早いのですか」
「さあ、それが判然しない。君も知っている通り死体検索から死期が推定されるが、二十分や三十分のところは、どうもハッキリしないのでネ。……とにかく大江山君もウララ夫人の剛情なのには参ったといって滾しているよ」
「どうも僕には、夫人が博士を殺したような気がしないのですよ。夫人はあの外人と、密かな邪恋に酔っていたでしょうが、いまのところ博士は無能力者であり、自分は誰にも邪魔されず研究していられりゃいいのであって、その点、妻君の自由行動をすこしも遮げていないのです。そのウララ夫人が急に博士を殺すとは考えられませんね」
「オヤオヤ、君も反対論を唱えるんだネ」
「ほう、すると外にも反対論者が居るのですか」