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ロボットさつがいじけん

人造人間殺害事件

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页

青空文庫

首領は大変よろこんだが、引続いてその配置や実行方法について詳細なる説明を語りつづけるのであった。

そのとき、突然、首領の前に置かれた電話機が、けたたましく鳴りはじめた。首領は手をのばして受話機をとりあげた。電話の内容は、首領を驚かせるに充分だったと見えて、彼は右手で机をおさえ、辛うじて崩れ落ちようとする全身をささえている様子だった。電話が終ると、首領は俄かに厳粛な態度にかえって、団員一同を見渡すと、やがて静かに口を開いた。

「皆さん、今夜の決議事項は駄目になりました」首領の英語は常に似ず朗かさを失っていた。「亜細亜製鉄所には既に暴動が起りました。製鉄所の建物は今猛火につつまれています。キューポラは爆発して熔鉄が五百米四方にとび散ったということです。この暴動の群衆の中に、奇怪なる人造人間が多数交っていて、いずれも挺身、破壊に従事したということです。次に命令です。失礼ながら皆さん、両手をあげていただきたい。おあげにならぬと、この私が銃丸をさしあげますぞ」一同は不意を喰って驚きはしたが、双手を直ぐに挙げることには躊躇しなかった。それは首領の射撃の腕前を、この部屋でしばしば目撃したことがあるからである。