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にんげんかい
人間灰
海野 十三
「新青年」博文館、1934(昭和9)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,345 字 · 33 页
そうすれば彼の屍体は完全に抹消されたことになります。なんと素晴らしい屍体処分法ではありませんか)
(なるほど、これア卓越した方法ですネ)
と丘署長の声が感嘆した。
(この方法で、六人の犠牲者はうまく片づけられたのです。当夜強い西風が吹いていたことは、署長のお持ちになった測候所の風速及び風向きの報告で証明されます。七人目の犠牲者も、同様に気球に載せられ天空高く揚げられたのでした。そして同様にして粉砕屍体は気球の上から湖面へ向けて撒かれたのです。しかし前の六回のときとは違って、二つばかりの誤算が入ってきました。それは犯人のために、実に不幸な出来ごとでありました。
二つの誤算――その一つは、撒いているうちに、それまで吹いていた西風が急に向きを南西に変えたことです。それがためどんなことが起ったかと云いますと、今まで真東へ飛んでいた人間灰は改めて北東へ流され、遂にその一部は、右足湖の北岸に墜落したのです。ごらんなさい。この壜に入っている異様な赤黒い物こそ、今日私が北岸へでかけて採集してきた七人目の犠牲者の肉片です)
田熊社長は、電話で話は盗めても、その人肉の入った壜を盗視できないことをたいへん口惜がった。