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ものをこわすのがしょうばいじけん
什器破壊業事件
海野 十三
「大洋」1939(昭和14)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,352 字 · 31 页
それは正面と横とが同時にとれていた。よく見るとなんのこと、それは今しがたこの部屋に入って、この椅子に腰を下ろすときから始まって、終りのところは、すこし睡くなって口をあいて欠伸をするところまで、いやにはっきりととれていたのであった。
「あら、まあ。あたくし、どうしましょう」風間光枝は、もう一度愕きの声を発した。
「きょう試験的に、この写真機を取付けてみたんです。ちょっと貴女を材料に使ってみましたが、なかなかうまく撮れる。一分間に六十枚まで撮れます。一つのレンズは、正面にあって、あの厚い辞書の中にあります。黒い紗のきれが前に貼ってあるから、こっちから見ても分りません。もう一つのレンズは、そのカレンダーの下の方に黒い波がありますが、そこに窓があいていて、扉の向うから撮るようになっている。いや案外簡単なものですよ」
そういっただけで、帆村は光枝の表情の変化などについても一言も批評らしい口をきかなかった。それだけ光枝の方では、間が悪かった。
「先生は、お人がわるいんですのね」
「いや、どういたしまして。これが商売ですからね、そうじゃありませんか」帆村は、そういった後で、光枝の姿をじっと眺めていたが、やがて、