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ものをこわすのがしょうばいじけん

什器破壊業事件

海野 十三

「大洋」1939(昭和14)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,352 字 · 31 页

青空文庫

壁はこのとおり厚いし、第一窓というものがない。いくら喚いたって、もうどうにもなるまい。こうなるのも運命だ。彼女は、すっかり観念して、目を閉じた。

奇妙な任務

そのとき帆村の声が光枝の耳に入った。

「いや、どうも失礼しました。これからお願いする仕事に関して、予め貴女の処女性反撥力といったようなものを験しておきたかったのです」帆村は、急に意外なことをいいだした。

「えっ、まあそんな……」

「でも、こいつばかりは話だけでも信用がなりません。やっぱり実験してみなくちゃね。さあ、そこへもう一度掛けてください」

光枝は、腹が立つというのか、それとも俄に安心をしたというのか、妙な気持で、再び椅子に腰を下ろした。この年齢になるまで――といって彼女はお婆さんだという意味ではない、これはそっと読者に知らすわけだが、風間光枝の本当の年齢は、当年とってやっとまだ二十歳なのである。――とにかく、こんなに愕きの連発をやったことがなかった。彼女は、改めて帆村の顔をぐっと睨みかえした。このまま部屋を出ていってやろうかと思ったほどだが、女探偵ともあろうものがと、どうにかこうにか自分の激情をおし鎮め、帆村の次なる言葉を待った。