轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
と、荏原屋敷の一所に、ポッツリ蝋燭の燈が点った。
森と、土塀と、植込と、三重の囲いにかこわれて、大旗本の下屋敷かのように、荏原屋敷の建物が立っていた。歴史と伝説と罪悪と栄誉とで、長年蔽われていたこの屋敷には、主人夫婦や寄宿人や、使僕や小作人の家族たちが、三十人近くも住んでいるのであった。でも今は宏大なその屋敷も、星と月との光の下に、静かな眠りに入っていた。
その屋敷の一所に、蝋燭の燈が点っているのであった。
四方を木々に囲まれながら、一宇の亭が立っていて、陶器で造った円形の卓が、その中央に置かれてあり、その上に、太巻の蝋燭が、赤黄色く燃えているのであった。そうしてその燈に照らされながら、三つの顔が明るく浮き出していた。松浦頼母と弟の主馬之進――すなわちこの屋敷の主人公と、その主馬之進の妻の松女との顔で、その三人は榻に腰かけ、卓の上の蝋燭の燈の下で、渦のように廻っている淀屋の独楽を、睨むようにして見守っていた。……
独楽は勘兵衛が今日の宵の口に、主税とあやめとの住居から奪い、頼母に献じたその独楽で、この独楽を頼母は手に入れるや、部屋で即座に廻してみた。