轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「不思議だな、消えてしまった」
抜いた刀をダラリと下げて、さも審しいというように、頼母はこう云って主馬之進を眺めた。主馬之進も抜き身をひっさげたまま、これも審しいというように、四方を忙しく見廻したが、
「一方は閉扉の館、また一方は底なしの古沼、前と背後とからは我々や覚兵衛たちが、隙なく取り詰めて参りましたのに、主税もあやめも消えてなくなったように、姿をくらましてしまいましたとは? ……不思議を通りこして気味のわるいことで」
「沼へ落ちたのではございますまいか?」
覚兵衛が横から口を出した。
「沼へ落ちたのなら水音がして、あっしたちにも聞こえるはずで」と勘兵衛が側から打ち消した。
「ところが水音なんか聞こえませんでしたよ。……天に昇ったか地にくぐったか、面妖な話ったらありゃアしない」
「主馬!」と頼母は決心したように云った。
「主税とあやめとの隠れ場所は、閉扉の館以外にはないと思うよ。彼奴らなんとかしてこの戸をひらき、屋内へ入ったに相違ない。戸を破り我らも屋内へ入るとしよう! ……それでなくともこの閉扉の館へ、わしは入ろうと思っていたのだ。淀屋の財宝を手に入れようとして、長の年月この荏原屋敷を、隅から隅まで探したが、この館ばかりは探さなかった。