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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
其方や松女が厭がるからじゃ! が、今夜はどうあろうと、屋内へ入って探さなければならぬ」
「兄上! しかし、そればかりは……」と主馬之進は夜眼にも知られるほどに、顔色を変え胴顫いをし、
「ご勘弁を、平に、ご勘弁を!」
「覚兵衛、勘兵衛!」と頼母は叫んだ。
「この館の戸を破れ!」
「いけねえ、殿様ア――ッ」と勘兵衛は喚いた。
「そいつア不可ねえ! あっしゃア恐い! ……先代の怨みの籠っている館だ! ……あっしも手伝ってやったんですからねえ!」
「臆病者揃いめ、汝らには頼まぬ! ……覚兵衛、館の戸を破れ!」
飛田林覚兵衛はその声に応じ、閉扉の館の戸へ躍りかかった。
が、戸は容易に開かなかった。
先刻は内側から自然と開いて、主税とあやめとを飲み込んだ戸が、今は容易に開かないのである。
「方々お手伝い下されい」
覚兵衛はそう声をかけた。
覆面をしている頼母の家来たちは、すぐに覚兵衛に手を貸して、館の戸を破りだした。
この物音を耳にした時、屋内の闇に包まれていた主税とあやめとはハッとなった。
「主税様」とあやめは云った。
「頼母や主馬之進たちが戸を破って……」
「うむ、乱入いたすそうな。