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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
母親の手をひっ掴み、お葉は梯子へ足をかけた。
「お母様!」と松女を引き立て、
「さあ一緒に、一緒に参って、お父様にお逢いいたしましょう! いまだに浮かばれずに迷っておられる、悲しい悲しいお父様の亡魂に!」
月下の殺人
「お葉かえ!」とその途端に、二階から女の声がかかった。
お葉は無言で二階を見上げた。
欄干から半身をのり出して、あやめが下を見下ろしている。
「あッ、お姉様! どうしてそこには?」
しかしあやめはそれには答えず、松女の姿へじっと眼をつけ、
「お葉やお葉や、そこにいるのは?」
「お母様よ! お姉様!」
「お母様だって? 良人殺しの!」
「…………」
「良人殺しの松女という女かえ!」
「…………」
「よくノメノメとここへは来られたねえ」
「いいえお姉様」とお葉は叫んだ。
「わたしがお母様をここまで連れて……」
「お前がお母様を? 何のために?」
「お父様を殺したあのお部屋へ、お母様をお連れして懺悔させようと……」
「その悪女、懺悔するかえ?」
「あやめや!」とはじめて松女は叫んだ。
連続して起こる意外の出来事に、今にも発狂しようとして、やっと正気を保っている松女が、嗄れた声で叫んだのである。