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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
何故この頃お館には、金子などには眼をくれず、器物ばかりを狙って盗む、ああいう盗難があるのだろう? それも一度ならずも二度三度、頻々としてあるのだろう?
(ある何物かを手に入れようとして、それに関係のありそうな器物を、狙いうちにして盗んでいるようだ。……そのある物とは何だろう?)
これまで盗まれた器物について、彼は記憶を辿ってみた。
蒔絵の文庫、青銅の香爐、明兆の仏書、利休の茶柄杓、世阿弥筆の謠の本……等々高価の物ばかりであった。
(盗難も盗難だがこのために、お館の中が不安になり、お互い同士疑い合うようになり、憂鬱の気の漂うことが、どうにもこうにもやりきれない)
こう主税は思うのであった。
(お互い同士疑い合うのも、理の当然ということが出来る。お館の中に内通者があって、外の盗賊と連絡取ればこそ、ああいう盗みが出来るのだからなア。……そこで内通者は誰だろうかと、お互い同士疑い合うのさ)
主税はこんなことを考えながら、御用地の辺りまで歩いて来た。
御用地なので空地ではあるが、木も雑草も繁っており、石材なども置いてあり、祠なども立っており、水溜や池などもある。