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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

そうして今お八重にとって、命の瀬戸際というこの時になって、……

「お八重」と頼母は唆かすように云った。

「今日の昼主税めわしの所へ参り、『私こと昨夜お館附近を、見廻り警戒いたしおりましたところ、怪しい女猿廻しめが、ご用地附近におりましたので、引っとらえようといたしましたところその猿廻しめは逃げましたが、独楽を落としましてござります。調べましたところ独楽に細工あって、隠語を認めましたこのような紙片が、封じ込めありましてございます。隠語を解けば――コンヤウラモンニテ、と。……思うにこれはお館の中に、女猿廻しの一味が居りまして、それと連絡をとりまして、お館の大切な器類を、盗み出したに相違なく、しかも女猿廻し一味のものは、女に相違ござりませぬ。何故と申せば隠語の文字、女文字ゆえでござりまする。左様、女にござりまする! 奥方様付のお腰元、お八重殿にごさりまする! わたくしお八重殿の文字の癖をよく存じておりまする』とな。……」

「嘘だ嘘だ! 嘘でごさりまする! 主税殿が何でそのようなことを!」

手を握りしめ歯切りをし、お八重はほとんど狂乱の様で、思わず声高に叫ぶように云った。