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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「妾の、妾の、主税様が!」
「フッフッフッ、ハッハッハッ、可哀そうや可哀そうやのうお八重、其方としては信じていた恋男が、そのようなことをするものかと、そう思うのは無理もないが、それこそ恋に眼の眩んだ、浅はかな女の思惑というもの、まことは主税というあの若造、軽薄で出世好みで、それくらいの所業など平気でやらかす、始末の悪い男なのじゃ。つまるところ恋女の其方を売って、自分の出世の種にしたのよ」
ここで頼母はお八重の顔を、上眼使いに盗むように見たが、
「だが、座敷牢へは入れたものの、其方の考え一つによって命助ける術もある。お八重、強情は張らぬがよい、この頼母の云うことを聞け! 頼母其方の命を助ける!」と又肉太の膝をムズリと、お八重の方へ進めて行った。
陥穽から男が
すると、お八重の蒼白の顔へ、サッと血の気の注すのが見えたが、
「えい穢らわしい、何のおのれに!」
次の瞬間にお八重の口から、絹でも裂くように叫ばれたのは、憎悪に充ちたこの声であった。
「たとえ打ち首になろうとも、逆磔刑にされようとも、汝ごときにこの体を、女の操を許そうや! 穢らわしい穢らわしい! ……山岸主税様が隠語の執筆家を、この八重と承知の上で、汝の許へ申し出たとか! 嘘だ、嘘です、何の何の、主税様がそのようなことをなされますものか! ……なるほど、あるいは