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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

一九四六年一月から文学雑誌『近代文学』が発刊された。『近代文学』は、三〇歳前後のインテリゲンチャ作家、評論家を集めたグループである。彼等の主張は、日本の現代にはまだ半封建的要素が非常に濃く残っているから、ヨーロッパ的の意味での「近代」を日本の社会的精神と感覚にもたらさなければならないという点にある。この主張は、このグループの人々の文学活動が「自我の確立」を中心課題とすることによって表現されている。日本の社会は、言葉の完全な意味でのブルジョア革命を経ていないという一応は尤もな理由から、このグループの「近代」の主張はある程度の共鳴者をもっている。しかし、このグループの致命的欠陥は、一九四五年の秋にそこを足がかりとして出発した「近代」と「自我」の探求を、その後の二年間に社会史的に発展させえない点である。『近代文学』の多くの人々は、日本の当面している民主主義の性格がブルジョア民主主義革命の遂行とともに、そのステップが人民的な民主主義にまでのばされなければならないものであるということを理解しない。日本のブルジョアジーは、その階級の高揚期に向う明治においてさえもブルジョア革命を完成する能力をもっていなかった。