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こんにちのにほんのぶんかもんだい
今日の日本の文化問題
宮本 百合子
「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页
小市民的な生活経験をもつこれらの作家たちは、日本の悲劇を世界歴史の上に判断し、国内の状態を日本社会史の波乱として把握する能力をもっていない。従ってこれらの作家は、最も素朴な存在の主観的よりどころとして肉体にすがるしか方法がない。日本の支配階級の愚民教育は、文学者の社会感覚をさえ、そのように狭小なものにしてしまった。彼等は肉体の実感を人間的に昇華した表現で感覚せず、粗野な性的行動の病的な誇張と肯定においている。日本の文学に昨今ほど売笑婦の登場している時期はかつてなかった。彼等は、日本の軍国主義が人民の生活の安定と生命を無視してきたことへの復讐であるかのように「身体で生きる」売笑婦の生活を描いている。この社会悪と悲惨を解決する方向にみないで、かびの花の色どりの奇怪さばかりを現実として描き出している。舟橋聖一・田村泰次郎・坂口安吾を代表として、多くの群小作家がこの溝にはまっている。このグループの作家たちの作品は、次第に、文学作品としての価値よりも、好色雑誌のための商品としてより多く需要されてきている。この種の作家の小説には、常に美術以前の煽情的插画が載っている。