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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

彼は、警視庁特高部長、警保局長、警視総監、という着実な一歩一歩を、自身の経歴に重ねた。安倍源基の閲歴そのものが、日本のファシズム強化の具体的表現であり、戦争拡大の地図である。彼の一歩一歩の立身は、彼の指揮する弾圧によって殺された人々の血にみたされている。そしてこれは決して誇張ではない。日本の治安維持法は十万――人の犠牲者を出しているのである。

日本に治安維持法があったということと、その法の適用にあたってあらゆる残虐・虐殺が行われてもよかった、ということとは別である。もしこの二つの別なことが一つのこととして理解されてよいならば、現在東京裁判が、捕虜に対する残虐行為者を公判していることはその人道上のモラルを失うだろう。

日本の人民の悲劇のなかにファシストと治安維持法の演じた役割は中世的流血をもって彩られている。今日、日本の誰が、ファシストを必要としているのであるか、今日、誰が、治安維持法の改悪の諸段階を一身の閲歴としている人物を必要としているのであるか。

日本民主化は四七年度において欺瞞の度を強めた。反動と保守が政府の政策のたて糸であった。一九四七年末から四八年初頭にかけてすべての日本人民は巨額な納税の負担に苦しんでいる。