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なかなかしなぬあいつ
仲々死なぬ彼奴
海野 十三
「探偵」駿南社、1931(昭和6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,216 字 · 18 页
老人は何故こう脆くも死んでしまったのであろうか。
親族達は、老人が死ぬと直ちに一致協力して、別に何の特権もないことが判って居る喜助を邸外に抛り出したのであろうか。
更に、これは大秘密であるけれど、大熊老人は生前に於て、ひそかに喜助の手を借りて毒薬亜砒酸を常用していたが、それは多分、抗毒性の体質をつくりだすことにあったのであろうが、それは実際、老人にとってどんな役目を演じていたのであろうか。又、そのすくなくない亜砒酸常用の体質が、今度の死亡原因に、どのような関係があるのであろうか。
そんなことを、いろいろ綴り合わせて考えてゆくと、若しやという疑惑が、なんだか本当にそうあったらしく思われて来るのであった。親族連中が一致団結して事に当っているのもおかしいと言えば言えないこともないし、死亡診断書を書いたN博士だって、何か動機があれば、インチキ証明書を書かぬとは言えないだろうし、そう言えば、老人がこのたび死病にとりつかれたのに、主治医としてN博士とその助手が二人ほど診に来たばかりで、百万長者の生命を治療するのには、たいへん貧弱すぎたと考えられる。
(わかった、彼等一団の親戚たちは、一致協力して、あるまいことか大熊老人の毒殺を企てて、それが不幸にも見事に成功してしまったのだ。