轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なにもの

何者

江戸川 乱歩

「時事新報 夕刊」時事新報社、1929(昭和4)年11月28日~12月29日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,449 字 · 77 页

青空文庫

突然立上った志摩子さんが、茶目らしく私に囁いた。振向くと二人の素人探偵は、まだ熱心に語らいつつ一丁も遅れて歩いて来る。

志摩子さんが、傍の大きな砂丘を指して「ね、ね」としきりに促すものだから、私もついその気になり、隠れん坊の子供みたいに、二人してその砂丘の蔭に身を隠した。

「どこへ行っちまったんだろう」

暫くすると、あとの二人の足音が近づき、弘一君のこういう声が聞こえた。彼等は私達の隠れるのを知らないでいたのだ。

「まさか迷子にもなりますまい。それよりも私達はここで一休みしようじゃありませんか。砂地は松葉杖では疲れるでしょう」

赤井さんの声が云って、二人はそこへ腰をおろした様子である。偶然にも、砂丘を挟んで、私達と背中合わせの位置だ。

「ここなら誰も聞く者はありますまい。実はね、内密であなたにお話ししたいことがあったのですよ」

赤井さんの声である。今にも「ワッ」と飛出そうかと身構えしていた私達は、その声に又腰をおちつけた。盗み聞きは悪いとは知りながら、気拙い羽目になって、つい出るにも出られぬ気持だった。

「あなたは、甲田君が真犯人だと本当に信じていらっしゃるのですか」