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ほくろてんのう
保久呂天皇
「群像 第九巻第七号」1954(昭和29)年6月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,034 字 · 27 页
「しかしだね。犯人が部落の者だとは限らない。保久呂湯へ泊っていた七ツの子供までお前のシマの財布のことを知っていたぐらいだから、去年保久呂湯へ泊った客も、オトトシ保久呂湯へ泊った客もみんなシマの財布のことを知っていたに相違ない。その中の悪者が姿を見せずに忍んできて盗んだかも知れないではないか」
「それはだます言葉だ」
「なにがだます言葉だ。保久呂湯へ泊った七ツの子供がちゃんと知っていたことはお前が子供の首をしめあげたのでも歴々としているではないか」
「なおさらだます言葉だ。ところがオレはだまされないぞ。オレの目には犯人が部落の者だということが分っている」
「その証拠を見せてもらいたい」
「盗まれた金はこの部落のどこかにある。金の泣き声がきこえてくる」
「それは証拠ではない。お前は神経衰弱のようだ」
「益々だます気だな」
「とんでもないことだ。理を説いてよく聞きわけてもらいたいという考えだ」
「理ならオレが説いてやろう。オレの盗まれた金のことはオレが誰よりも考えている。部落の者でなければ盗むことができないとオレが知っている。この部落から大盗人をだしたのはお前たちの大責任問題だぞ。