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はいくのつくりよう
俳句の作りよう
高浜 虚子
「ホトトギス」1913(大正2)年11月~
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,854 字 · 91 页
私は何故に突然そういうことを子規居士が言い出したかということに疑問を抱きながらも、そのすすめに従っていろいろと考えてみました。『鍋提げて』ということは随分格段な場合であります。鍋ながら座敷に御馳走を持ってゆくとか、鍋を洗いに裏の井戸端に行くとかいう場面を考えてみましたが、いろいろ考えて句にならぬ末、ふと最前から目についていた、向こうの田に田螺を掘っているのであろう、二、三人の女が泥の中に足を突っ込んで腰をかがめている、その光景とその事情とが何だか離すことのできない一つの事実のように考えられて、
鍋提げて田螺掘るなり町外れ
とこういう句を作って居士に話しますと、何故そういう注文をしたかということについて居士は説明しました。居士は手帳の他に手に一冊の古俳書を持っておりました。それはたしか闌更の句であったかと記憶します。
鍋提げて淀の小僧を雪の人
居士はこの句を示しまして、
「その初めの五字を取った『鍋提げて』なんかちょっと思いもよらん言葉のように思われるけれど、こういうふうに句になるところをみるとそう不自然にも思われん。この句はおおかた写生句だろうと思う。