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はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う
高浜 虚子
「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页
芭蕉は好んで自分も旅という事を言っておるが、殆ど定住とするところの家もなかったのであるから、西に行くも東に行くも悉くこれ旅であったのである。彼の『奥の細道』の冒頭に「人生は逆旅」と言っておるが、そういう見地からいえば、いずれの人生か旅中ならざるであるが、その逆旅たる人生に在っても江戸に住むも近江に住むも悉く旅中の一小宿りたるに過ぎなかった彼に在っては、死の外に帰る棲家はなかったのである。いよいよ死も遠からずと覚悟した時にその夢に入り来るところのものは何ぞ。曰く、枯野をかけめぐるのみ。かくして其処に芭蕉の生涯は結末を告げたのである。
これがまあつひの住家か雪五尺 一茶
芭蕉死後幾多の風騒の人が出て、俳諧史の頁を目白推しに埋めているのであるが、天明の蕪村に遅るること数十年にして突と流星の如く一人の俳人が生れておる。それが俳諧寺一茶である。一茶は信州の高原柏原の産で諸国を放浪した末また柏原に戻って来て、それから一生を其処に終った人である。今でも柏原に行くと、その一茶の住っていた古荘などがそのままに残っているのを見ることが出来る。この句はその放浪の末、生地である柏原に戻って来た時の句で、この雪が五尺も深く積っておる、この土地がまあ自分の最後を送るべき土地であるか、このわびしい藁家が自分の息を引取るべき家かという