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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

この句のように道徳的の寓意を含んだ句の如きは、たまにあってもいいけれどもむしろ脇道に外れたものである。

荒海や佐渡に横ふ天の川    芭蕉

越後の出雲崎という処で作った句である。奥の細道を辿って酒田より越後路に出で、出雲崎に宿った時あたかも秋の晴れ渡った空で、銀河が遠く佐渡が島の方に流れていた、その光景を咏んだのである。荒海というのは、元来日本海は太平洋よりも荒るることが多いので、殊に秋から冬にかけては浪が高い、その荒海が星月夜に遠く見渡される。その果てには一抹の佐渡が島が長く帯の如く見えておる。空には銀河が出雲崎の真上からその佐渡が島の方へかけて流れておるというような大きい景色である。芭蕉の壮大な句といえば、よく引合いに出される句である。

一笑を弔ふ

塚も動け我泣声は秋の風    芭蕉

一笑という俳人の墓を弔った時の句で、我が哀哭の声は秋風の吹くが如く強く切なるものがある。そのために塚も動けよかし、というのである。少し仰山過ぎる嫌いはあるけれども、調子の強いところが慟哭の情を現わすのに適しておる。ことに女々しくめそめそしたところがないために読んで痛快である。