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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

やはり好句たるを失わぬのであろう。

秋風や藪も畑も不破の関    芭蕉

不破の関のあとは今は藪や畠になってしまっている。そのあとを訪えば、唯秋風の吹いておるばかりであるというのである。「藪も畠も不破の関址」の意であろう。これも調子の強い句である。

菊の香や奈良には古き仏達    芭蕉

奈良へ行って見ると興福寺とか東大寺とか西大寺とかまた法隆寺とか、古き都のあとで、しかも仏法が初めて隆盛を極めた時代の名残が沢山残っている。その寺々にはそれぞれ古い仏体が沢山あって、貴く拝まれる。その古い仏たちの沢山ある奈良に行った時の心持は、清高なる菊の香を嗅ぐ時の心持と似通ったところがある、というのである。実際奈良に行けば菊の花も咲いていたであろう。その菊の香を嗅ぎながら、仏を礼拝して廻ったのであろう。けれどもこの句はそういう実際の景色を写生したというよりも、奈良に行って古い仏たちに接した時のすがすがしい尊い感じを現わそうとする場合に菊の香に思い到って、それを配合したというような句である。俳句は往々にしてこういう句がある。これを単に菊の花を古い仏たちとの比喩と見てしまっては殺風景である。