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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

余り月が明かなために帰り去るに忍びず、その池の周囲をめぐって終夜歩きつつあったというのである。この句の如きも唯事実そのままを叙したのである。

飲みあけて花いけにせん二升樽    芭蕉

芭蕉は大酒家ではなかったろうが、まんざらの下戸でもなかったようである。その消息文のうちに、人から酒をもらった礼状などもあるようである。この句も恐らく芭蕉の実況で、二升樽の酒を厨に蔵していた。飲みあけて、というのは一晩や二晩で飲み空けようというのではなく、幾日かかかって飲み空けたら、その樽を花生けにしようというのである。この場合の花生けというのは、桜を生けようという意であろう。「花生け」そのものは季はないけれども、花といえば桜を指すことになっているところから、この際はその花で春季の句としたのである。恐らくまた作者の意は桜を生けようというのであろう。これもまた春興と目すべきであるが、その中に、妻帯もせず、男暮しの暢気な心持、別に急ぐわけでもなく飲み空けたらその時花生けにしようと考えつつなお毎日少しずつ酒を飲んでいるようなところに芭蕉その人の生活が覗われるようである。

鶯や餅に糞する縁の先    芭蕉