轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひかりのなかに
光の中に
金 史良
「文芸首都」1939(昭和14)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,411 字 · 49 页
全く気の毒な程ひどい傷がこめかみの所に出来るんだよ。そうれ、あそこなんだ、……山田さん、お子さんの協会の先生がいらっしゃいましたよ」
春雄はいなかった。十二畳位の部屋に寝台が五つ程交互に並んでいて、いずれにも病者が沈み込んでいた。その隅の方に彼女が横たわっていた。白い繃帯でぐるぐる巻かれた顔の中に口と鼻の所だけが少しばかり明いてみえる。彼女はじっとしたまま何も答えない。尹医師は回診のために席をはずしてくれた。私は彼女にどういうふうに話しかけたものだろうかと一寸ばかり当惑した。
「どんなにかお痛みのことでしょう。春雄君も随分心配していたようです」とつい言葉のはずみで山田のことをひっぱり出した。「実は私、春雄君の通っている協会の先生だもんだから……私、南と申します」
彼女は心なしか少しばかり体を動かしたように思われた。きっと彼女は私が朝鮮の苗字をしているので驚いたのに違いないと考えた。
「あ、あ」彼女は指先を小刻みにふるわせながら呻いた。
「春雄……春雄がほんとうに妾のことを……」
「…………」私は答えるに言葉がなかった。
「あは」彼女は感動の余り嗚咽した。「妾の春雄が、ほんとうに……妾を心配すると……云ったでしょうか……」