轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひかりのなかに
光の中に
金 史良
「文芸首都」1939(昭和14)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,411 字 · 49 页
五
何という思わぬだしぬけたことをする少年であろう、私にはその時にも半兵衛が監房の中で上服を壁にかけてにたにたしていたことが思い出された。
五
一時間ばかりして山田春雄は再び私の前に姿を現わした。だが彼は指を口に咥えたまま足元ばかり眺めていた。何だかすっきりした安堵もあるのだろうか。口元が今にも綻びそうにさえ思われた。何か素敵な事をした子供が大人の前でてれているようでもある。今まで彼の面上にこれ程素直な子供らしい影が現われたことがあろうか。彼はもうすっかり私を信じているのに違いなかった。だが私もひそやかに微笑を浮べるだけで何も訊かなかった。「さあ、出掛けようか」と帽子をとり乍ら一言云っただけである。
前夜の嵐の後をうけてうすら寒い位の午後だった。広小路で市電を下りた時は丁度日曜で押し合いへし合いの雑沓ぶりである。いつの間にか呑まれるように松坂屋の入口まで来たので、私は別に用事はないものの彼の手を引いてはいって行った。中も非常に込んでいた。春雄がエスカレーターに乗ろうというので二人で並んで乗った時は、さすがに彼は幸福そうで晴々としていた。私もみちあふれるような歓びを全身に感じた。