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ひかりのなかに
光の中に
金 史良
「文芸首都」1939(昭和14)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,411 字 · 49 页
山田をはじめ二三の子供たちが逃げ出すようだった。私は呆然と立ち尽していた。一瞬間電光のように俺こそ偽善者ではないかという考えが閃いたのである。階下の方ではがんがんと鐘の音が聞えていた。子供たちは騒ぎたてながら雲のように下りて行く、その音が恰も遠い所からのように響いて来た。すると戸がそっと開いて忍び足でやって来た山田が、背をちぢかめて隙間から部屋の中を覗き込むのだった。それから、
「やい朝鮮人!」と云って舌をぺろりと出して見せると、追われるように再び逃げて行った。
これ以来、益々山田春雄は意地悪くなって私につきまとって来た。私が彼に一層の注意をむけるようになったのはそれ以後のことである。
成程そう考えてみれば、ずっと以前から彼は私を疑りの目で監視しながらつきまとっていたようであった。時々私が言葉尻などにひっかかって舌が廻らないような場合にも、よくそれを真似て殊更にわらい立てたりするのは彼だった。彼は最初から私を朝鮮出身だとにらんでいたのに違いない。でありながらも彼はいつも私につきまとい、私の部屋に来てはよくいたずらをした。それというのも彼は一種の愛情に似たものを私に対して感じていたためであろうか。