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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
三年の一学期は憂鬱に始められた。課業の勉強は情熱の目標として魅力を失った。私は授業時間に物を考え、文章を書いた。私の学校は、昼間さえ虫が一杯啼いていた。アカシヤの葉のそよぐのを窓から見ながら、私はその声に耳を傾けていた。
「倉田君」
と地理の先生は私を指名した。「今日教えたアフリカの主要都市の名を言って見なさい」
先生の鞭の指す世界地図のしるしの上を空しく見送るのみで、私はひとつも覚えてなかった。
同級生たちは笑いだした。
顔を赤らめて、頭を掻く私をたしなめるように先生は言った。
「授業中に作文など書いてはいけません」
が私の興味は課業に集注しなくなって来た。向上心は燃えているが、身につけたいものが別の処にある気がするのだ。課業は勉強しようと思えばいつでも出来る。競争者はない。だが文化は(そういう言葉では考えなかったが)洗練はどこから得られる?
「海岸線の方から、都会の方から」
これが私の触角の答えであった。
私たちの制帽は白線が三条巻きつけてあったが、酒井君は細い絹糸のような条を巻き、ひさしの広い、別の型の帽子を被り、鞄を右肩だけにかけて、新しいスタイルをはじめた。