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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

「へえ」

と伯父が目をまるくした。

「それがいいわ、きっと」

と姉はまじめにいった。「いい坊さんになるかも知れないわ」

どう考えて姉がそういったものかは私は知らない。しかし大体そうしたものになって来たのは不思議である。

表二階で裁縫をしてる姉に、私はよく本を読んで聞かしてやった。

蘆花の「思い出の記」や、木下尚江の「良人の告白」などそうして読んだ。

「寒竹垣の下で虫が啼いている。月の光がきらきら……信じていつまでも待っています」

私は読みながらしきりに恋を思うのであった。

姉はといえば、安泰そうに、ふっくらと、安楽架のようなものに背をもたせて、針を動かしながら、恋に渇いていそうにも思えなかった。

思いつつぬればや人の見えつらん夢と知りせばさめざらましを

うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき

私は声を高くして読んだ。

「あんた好きな人があって?」

と姉は突然きいた。

「あるものですか。そんなもの」

「カネ久(尾道にある倉田家の宗家)のみつのさんはどう思う。お祖母さんが百松(私の幼名)といいなずけにするといいといってらしたそうだけれど」

「あんな、ちっぽけなもの。