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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
「珠の巖の話は本当でしょうか。西洋人に珠をとられたという――」
「本当の事だとお母さんは言いますわ」
とすぐ向こうの朱塗りの楼門の前にある「珠の巖」を見やった。
「ぴかぴかと海を照したらきれいだったでしょうね」
「ダイヤモンドですね。きっと」
「お琴に行ってますか」
と私はませた訊き方をした。
「ええ」
「僕のくにの姉さんはとても琴が上手ですよ」
「私は駄目。よく休んだりしますから」
とはにかみを見せたが、「※の姉さんはなさいませんの」
「あれは商売一方ですよ」
「ほんとに綺麗な姉さんですわね。わたし一番好きですわ、尾道じゅうで」
私は嬉しくなった。
「カルタ会に来ませんでしたね、あなたは」
「ええあの時は生憎と熱があって」
「すみ子さんもいち子さんも来ましたよ」
「そうですってね。後でお聞きしました」
彼女は淋しそうな表情をした。
姉さんの所へ遊びにいらっしゃいと言いたいのだが、どうしても言えなかった。
「奥って、どんな所ですの?」
「庄原と言って、山の中の淋しいところですよ」
「庄原? あの荷車のたくさん出るところですか」
私は苦笑した。長屋の通りには毎朝未明から、馬の曳く荷車が奥からコトコトと一杯出て来るのであった。