轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

「こんぴら参りした事がありますか」

「ええ。いく度も。お母さんは高松から来てらっしゃるんですから」

「やはりあの船で」

「二度ほどあれに乗りました」

児島丸の事務長の福井という人は※の店の常客で、姉などとからかい合ったりするほど懇意な間なので、私は他所の船のような気がせぬのであった。

「酔いませんか」

「すぐに酔いますのよ」

と彼女は美しい眉を寄せた。その様子はいかにもデリケートな、華奢な、弱々しい生れを思わせた。

「酔いさえせねば船は愉快ですがね」

「宮島だとすぐ向こうだからいいわ。景色もこんぴらよりいいし、鹿が可愛いわね」

「餌をやるとついて来ますね」

「廻廊もきれいだし、紅葉谷もいいし……」

と何か彼女は思い出しているように見えた。

「み仙しましたか」

「う、うん、山は駄目」

と彼の女は思いも寄らぬという風に首を振った。私は何か胸を衝かれた。

「体が弱くちゃいけませんね」

「あたしもう遠くへは行かないの。お父さんもそう言ったわ、お舟も酔うし――茶園でお琴を弾いたり、本を読んだりして暮せって」

「小説を読みますか」

「読みますわ、少しは」

「金色夜叉や、不如帰読みましたか」