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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

父がよくこぼしますよ。尾道には学問の話が出来る人がいないって」

私はいつかの美しい祝詞のことを思い出した。

「君はどこの学校ですか」

「僕はこの土地の商業学校を出ました。兄は東京の国学院大学に行っていますがね。僕は後とりじゃないし、正直なところ神主にはなりたくないからね」

彼は自分がここのお宮の子であることに、自負を持っていないらしかった。

鈴子は心持ち顔を赤らめているようであった。何か言いたそうにして止めた。

「君はどこへ来てるんです?」

「十四日町の倉田という家です」

「はあ、倉田さんですか、あの家の御主人はうちの氏子総代でよく見えますよ」

「あれが僕の伯父です」

「そうですか」

と彼は非常な親しみを見せた。

それから色々と話しをした。私は同じ年頃の少年と遇えば、すぐに学芸を比べて見る競争心を持っていたが、この少年はその方面には興味を持ってない事が直ぐ解った。この少年はもっと実際的な方面に才があり、話のしぶりも社交的であった。兄は余計なことを言うと鈴子は思ってるらしかった。が兄は構わずに、私に隔てなくしゃべった。

「君は学問が好きらしいが僕の家に遊びに来ませんか。