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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

これは如何にもはろばろとした、寂寥感が出ている。そして感じが新しいね。一体万葉は古いものだけれども、非常に現代的なところがあるんだよ。たとえば巻四、湯原王の歌にしても」

又鈴子がめくってくれた。

「月よみの光は清く照らせれど惑えるこころたえじとぞ思う

これなどは現代の、君でもよみそうな歌じゃないか。はゝゝゝゝ」

私も、鈴子も思わず笑った。

「まあ、段々と話してあげるよ、何しろ万葉や、古事記を研究しないで、文学のことなど話そうとするのは乱暴なことだよ」

私はうれしくなった。実際三つともいい歌だと私は思った。

「今度の会から、では、参ります。どうぞよろしく。有り難うございました」

と私は立ち上った。

「ああ、来給え。※さんではお祓いをあげるだろう」

「ええ、毎日あげます」

「君はあの大祓いを読んだかね」

「実はまだ読みません」

と私は廊下に立ったまま、頭を掻いた。

「あれを読まなくっちゃ。あれは傑作だよ」

と仁田さんは言った。

鈴子が玄関まで送ってくれた。

私は家へ帰ると、神棚から祝詞の小さな本を持って来て読んだ。私はすっかり魅せられてしまった。こんな厳かな、清浄な美しい詩をどうして私は食わず嫌いしていたんだろう。